やなせたかし(著) 「アンパンマンの遺書」
鷹揚の会: 平成26年2月例会
開催日: 2014年2月28日
レポーター: 得丸公明
- 1 本書との出会い・本書が書かれた背景
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- 昨年10月13日に亡くなったやなせたかしの、遺書がタイムリーに出版されているのを書店でみつけた。読んでみたら、読みやすくて、面白かった。
- 20年ほど前に、奥様が亡くなった後、自分の生い立ちからアンパンマンの誕生と成功まで話を整理した。人生を4コマ漫画仕立てで表現。
- 2 遺書の面白さ
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- 「曽子曰く、鳥のまさに死なんとするやその声や哀し、人のまさに死なんとするやその言や善し」 亡くなる時の言葉には嘘がない。長い人生を短くまとめて学ぶこと多し。
- マンデルブロの『フラクタリスト』も面白かった。川上哲治もかなり前に遺書を書いている。野球の話題が主だが。
- 自分の人生も4コマにしてみたらどうなるかと考えてみた。(0-30誕生から大学、日商岩井時代, 31-44 ユネスコJPO、ロンドン駐在員、富山県環境財団の生活, 45-54 MCCの座敷牢暮らし, 55-自宅待機・合気道・言語研究まとめ)
- 3 本書から学ぶこと:一流の漫画家として花開くまでの志と運
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- 高知の地方新聞記者で終わりたくないと上京。つねに一流を目指す志を失わない。
- 手塚治虫とのつながりが、アンパンマンを生んだ。不思議な縁。『アドルフに告ぐ』が大友克洋への挑戦状だったとは。天才のジェラシーは作品に結びつく。
- 4 本書で思いついた疑問:テレビアニメはおばあちゃんの昔話に代わることができるか
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- 先月の『物語ること、生きること』、今月の『アンパンマンの遺書』と幼児向けの物語について考える機会を得た。
- 耳から聞かせてもらうおばあちゃんの昔話に、テレビアニメは代わりうる存在かと問いかけたい。アニメや劇画は「文化」(人々の行動や思考を決定するソフトウエア)なのか。
- たとえば、一休さんのとんち話(虎を屏風から追い出す話、橋の真ん中を通る話)だと、思い出す話があるが、アンパンマンやドラえもんにはそれがあるか。
- 比較的安易に漫画は文化だと言われてきた。しかし本当にそうなのか。むしろ逆に、アニメや漫画は我々から論理的思考を奪っているのではないか。
以上