佐藤健太郎(著) 「炭素文明論」

鷹揚の会: 平成25年12月例会
開催日: 2013年11月22日
レポーター: 得丸公明

1 出会い:読書家の友人が面白いと紹介してくれた。
2 内容:
小さくて平凡で安定した元素炭素には、化合物を作る能力があり、あたかも人類の現文明の加速装置のように、「砂糖」「香辛料」「ニコチン」「カフェイン」「エタノール」「硝石」「石油」などの重要商品として植民地化・三角貿易・帝国主義戦争・大金持ちを生みだす原動力となった。
現代においては、医薬品や炭素繊維や人工光合成などさらに文明を加速するために役立てられることが期待されている。

3 興味深かったところ
P49 遺伝子組み換え技術 是か非か
P156 酒でどうして酔っ払うのか:別の仮説もありうる(CSFのアルコール濃度上がる)
P207 チンパンジーに手話を教えると憎まれ口や嘘までつく(誰の研究か、嘘は動物的か。政治家や原子力産業の嘘は動物的な嘘か)
貨幣を教えると売春や強盗まで発生する(これも動物的・サル知恵か)
4 感想:
アルコールやカフェインやニコチン中毒になるのは、ヒトの動物的(物理的)部分。他の動物もアルコールやニコチンにハマる。これはつまり、これまでの人類文明が、ヒトの動物的部分に突き動かされて発展してきたことの証ではないか。
現代文明はいよいよ崩壊の佳境を迎えるが、それが失われて困るのは、主としてヒトの物理層にかかわる部分だけである。香辛料もタバコもコーヒーも酒もなくてかまわない。論理的部分(論理層)は、物理層と関係なく存在し続ける。
人間の思考や知能も、最低限の炭素化合物(ブドウ糖やRNAやDNAやアミノ酸やたんぱく質)によって支えられているが、大量には必要としない。人類がこれまで構築してきた叡智・知能の言語情報ゲノムを吟味し、誤り訂正して、わが知能の一部として受けつぐことで、人間ははじめて人間らしく生きることができる。
これから人類(類としての人間)の論理層における知的成熟・知能発展の時代がくる。

以上